教員リレーコラム

「ひとをはかる測度はいろいろ」

髙田 政夫[作業療法学専攻]

妻の郷、高千穂から柚子が籠いっぱい届きました。部屋に柚子の香りがひろがります。 早速、水彩画のモチーフに、スケッチと透明水彩彩色です。ひとつひとつがいろいろな色を放ちます。自然に育った柚子です。環境によって違うのでしょうか。うすいレモン色から橙の濃い色などなど。 感染の記録を更新するコロナ禍の中で、一年生は年明け間もなく定期テスト週間となる。二年生は期末定期テスト終了し、年明けには臨床実習が控えている。三年生は年明け2月末には国家試験。合格を目指し人生で最も集中する勉強に取り組んでいる。学生にとっては勉学の証である試験点数に一喜一憂する日が続く。 試験結果はひとつのスケールである。しかし、一点違いで評価はくだる。教員はシラバスのとおり学生評価の可視化、多様性を求めているが、最終成績はひとつの測度にすぎない。 人を測る指標は様々である。特に作業療法ではその人全体を作業の視点から評価できる力は大切である。作業療法の基盤となるリハビリテーション医学や精神医学、社会学等の世界では観察やセラピストの主観に頼る評価が意外とある。正確さの基本はセラピストの視点や主観であると言っても過言ではない。最終判定はセラピストなのである。 クライエントの主観とセラピストの主観から作業課題を見つけゴールを目指す協働(コラボレーション)によって作業療法は成り立つ。セラピストの主観は幅広い視野が基盤となる。そこは人生経験の何が役立つかはわからない。作業療法の難解さがここにあるのかもしれない。セラピストとクライエントのコラボレーションはサイエンスよりアートの要素が多いからだ。 いよいよ彩色の最終段階、存在感を出すように陰を加えます。背景は空気感を出してみましょう。色の違いのハーモニーがおいしそうに届くと良いですね。学生一人ひとりの個性があるように。 ―古希を迎え退職前に―
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ゆずも色々(透明水彩)

もう一つご鑑賞ください。
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チェッカー・ベリー
メリーⅩ’mas
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