教員リレーコラム

「自己を鍛えられるか…」

鳥居 昭久 [理学療法学専攻]

イチローさん(引退したのでイチロー選手ではないですね…)の話が出ているので、私も便乗してぶつぶつ…。 イチローさんは、かつて「お腹がでてきたら野球選手を辞める」と言っていました。 でも、お腹が出ていないのに引退してしまいました。 ここは、メジャーリーグという”実力のみ”を評価される場での選手としての限界を感じたのだろうと思います。メジャーリーガーという立ち位置に対するこだわりが無ければ、まだまだ現役選手として通用することも有るかもしれません。(「日本プロ野球だったら…」なんて言いません。日本のプロ野球だって、それなりのハイレベルな野球であると思いますからね。)…どこぞのプロスポーツでは、お腹が出て、走れないけれど、代打要因やワンポイントだけで現役でいられる選手はたくさん居ると思いますが、イチローさんは惜しまれつつも現役を引退しました。 さて、イチローさんの引退の話はともかく、彼の現役時代のことを考えてみたいと思います。 イチロー選手は、身長180㎝であり、プロスポーツ選手としては大きくは有りません。体重も、最終的には78~79㎏と言われていますが、もともとは、線が細い選手でした。また、いわゆる天才と言われるような活躍を幼少期にしてきたわけでもありません。しかし、40歳を過ぎても盗塁もできたし、外野守備での走りっぷりは年齢を感じさせないものが有りました。 なぜ、イチロー選手はそれが出来たのか? 答えは簡単です。 そもそも、イチロー選手は、健康管理に相当な意識が高いことです。食生活、睡眠時間、疲労回復など、生活の中でも自然に無理なく過ごしていたと思われます。そして、ご存知のように、体型を見る限り、体作りも相当考えていると思われます。色々な情報は流れていますが、トレーニングやコンディショニングに関しては、自身で考え、そして実践しているようです。そして、それはノウハウではなく、結局のところ…”それを実践しているか否か”です。 人間は嘘をつきますが、身体は嘘をつきません。 物理学でいう「エネルギー保存の法則」と同様に、人間の身体エネルギーも摂取と消費には一定の法則がありますから、食べて消費しなければ、確実に過剰分は蓄積されます。 また、トレーニングも嘘をつきません。 トレーニングの原理原則から考えて、それの沿っているトレーニングをすれば必ず、その結果として相応の身体反応がもたらされます。したがって、体型(骨格筋の状態)や、体力(例えば走る能力)などは、日々のトレーニングの質に影響されます。 イチロー選手の示してきたパフォーマンスは、イチロー選手が日々の生活の中で、自身の課題を確実に実践してきた証拠なのです。 さて、イチローさんの過去を振り返っても、その模範的な実践には感心するところですが、そのことは、私たちには無縁な事なのでしょうか? …答えは簡単です。 今、これを読んでいただいている方にもわかっていることです。誰でも可能なことです。特別なことでは無いし、特殊なことでもありません。”実践”するか否かなのです…。 イチローさんは、1973年生まれ、私は1963年生まれ。10歳しか違わない。 なのに、10年前の私はどうだったか?…そんなことを言ったら、隠れるしかありません(笑)。 でも、残りの人生では、イチローさんを見習って、実践できる生活をしてみたいと感じる最近です。残り数年で、なんと還暦、定年になってしまうけれど、その時に、普通では有り得ないような”スーパー爺さん”になれるように、身体を鍛え、頭を鍛えてみたいと思うのです。 さて、問題は、そう思うだけではなく、”実践”ですね。 自己をどこまで鍛えられるか…、そのテーマに、残りの人生を掛けてみるか!?って、壮大なぶつぶつになりました。
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