堀部 恭代[作業療法学専攻]
実家の前にねこ好きのおばあちゃんが住んでいました。 おばあちゃんの家にくるねこは みんなおばあちゃんに よくなつき幸せそうでした。 おばあちゃんが80歳を過ぎたころ 近所のひとが ねこが庭で粗相をしたことに腹を立て なんども文句を言い とうとうおばあちゃんはねこを 親戚に預けることにしました。 その3ヶ月後 ねこが交通事故で亡くなったと連絡があり その6ヶ月後 おばあちゃんは認知症のためにひとり暮らしが 続けられなくなり グループホームに入所しました。 入所する前 時々実家に帰る私に おばあちゃんは 「ねこがいないから 早起きしなくなったわ」 「ねこがいないから 買い物がつまらないの」 と力なく話していました。 おばあちゃんにとって ねこを飼うという作業は 生活のリズムを整え 買い物に楽しみをもたらすなど 健康を支えるものだったのではないかと思います。 年を重ねると こんな風に 今までやってきた作業を 諦めたり 諦めさせられたりすることが多いように思います それによって 健康を害すことも多いのではないでしょうか。 どうしたら いつまでも作業が続けられるのか どうしたら 作業を応援する社会になるのか。 「作業の視点から ひとや社会を健康にする」 そんな使命を作業療法士は 持っていると思います。 作業療法士に何ができるのか これから 研究や臨床場面で追及していきたいと思います。
教員リレーコラム