宮津 真寿美[理学療法学専攻]
先回このコラムで、ある靴屋で足部の測定をした話を書きました。 そもそも足部の計測をしようと思ったのは、 靴メーカーの研究所の研究員である20歳台の理学療法士の話を聞いたことがきっかけです。 メインは、靴の開発の話でした。 その研究所の研究員は、工学系の人が多いそうです。 靴の材料、構造、生産、様々な運動評価などの研究をしている研究所の中で、 理学療法士としての自分の強みは、 解剖学、生理学、運動学の知識があることだ、と彼は断言していました。 確かに、靴のある構造がスポーツのこういう動作に良い、とか、負担を軽減する、という話は、私にも理解できます。 靴メーカーの研究所ですから、 新しい技術を開発し、それを製品化しないと意味がありません。 製品化するための知識は、理学療法士である私にはありません。 彼の話は、靴の開発全般でしたので、 就職後、理学療法以外の領域のことをものすごく勉強したのでしょうね。 彼は、靴を介して「理学療法」を提供していると思いました。 医療や福祉以外の業種に理学療法士が参入し、 理学療法の知識や経験を活かして、 若い理学療法士が活躍するようになっています。 昨年、理学療法士が映画監督をし、 理学療法士が主人公の映画が公開される、なんてことがありました。 古い理学療法士からすると、隔世の感を禁じえません。 さあ、まもなく卒業式です。 本学の卒業生から、 少し変わった場所で活躍する理学療法士・作業療法士が出てくるといいな、と思います。
教員リレーコラム