教員リレーコラム
「5匹の猿の実験」
横山 剛 [作業療法学専攻]
5匹の猿の実験の話を聞いたことがあるでしょうか。実際には行われたものではないようですのでご安心ください。その話を紹介します。
部屋に5匹の猿がいます。部屋の中にハシゴがかけてあり、登るとハシゴの上にあるバナナを取ることができます。しかし猿がハシゴを登ると、登らなかった残りの猿に水がかかるようになっています。しばらくすると、猿たちは水をかけられまいと、ハシゴを登る猿を攻撃するようになります。そうするうちにどの猿たちもハシゴを登ろうとしなくなります。そして、元々いた5匹のうち1匹を新しい猿に入れ換えます。新しい猿はバナナを発見するとハシゴを登り始めます。すると他の猿たちは新しい猿を攻撃し始め、新しい猿はなぜ攻撃されたのか理解できないまま、攻撃されないようにハシゴを登ることをやめてしまいます。さらに別の1匹を新しい猿に入れ換えます。その猿もバナナを発見してハシゴを登ろうとした時に他の猿たちから攻撃されます。以前攻撃された新しい猿も一番新しい猿を攻撃するようになります。けれどもなぜハシゴを登ろうとする猿を攻撃するのかの理由は理解していません。このようなことを繰り返し元々いた猿が1匹も部屋からいなくなった時、猿たちは水をかけられたことはないけれども、バナナを取ろうとしてハシゴを登ろうとする猿もいなくなる、というお話です。
これは、形骸化した規則はこのようにして生れていくという話です。
現在も私たちはコロナ禍にあり、収束の見通しはまだ立ちません。様々な新しい生活様式が求められ、新しい規則に従って生活していきます。それらが形骸化しないように注意することが必要そうですね。新年度に向けて一歩一歩、確実に歩みを進めていきましょう。