愛知医療学院短期大学

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「水ぼうそうになったことのある50歳以上の人におすすめのワクチン・・・ 帯状疱疹ワクチン」

杉山 成司 [理学療法学専攻]

以前、このコラムで触れたことのある帯状疱疹(たいじょうほうしん)の予防ワクチンについて、新しいワクチンが開発されたので再度取り上げることにしました。復習になりますが、帯状疱疹の原因は水痘・帯状疱疹ウイルスと呼ばれるウイルス。すなわち、水痘(すいとう=水ぼうそう)を起こすのと同じウイルスによって引き起こされます。

これまでの帯状疱疹ワクチンは弱毒生水痘ワクチンで、ウイルスの毒性を弱めて発病しないようにし、一方で体内で抗体を作って水ぼうそうの免疫力(抵抗力)を高めるように工夫されたものでした。このワクチンは成人の帯状疱疹の発症予防にも効果があることから、数年前から50歳以上の方にも適応されるようになりました。ただ、生ワクチンですので対象者には制限があり、明らかに免疫機能に異常がある方、あるいは癌など免疫力が抑制される治療を受けている方には接種できませんでした。また、ワクチン接種後2ヶ月間は妊娠を避けることが求められています。

昨年(令和2年)1月、新たな不活化型の帯状疱疹ワクチンが発売されました。この不活化ワクチン、ウイルスの感染能力は無く、しかも抗体は作ることができるというものです。ですから、生ワクチンを使用できない方でも接種可能な場合があります。

もう1つのポイントは効果です。帯状疱疹の発症予防について、従来の生ワクチンは50~70%であるのに対し、不活化ワクチンでは50歳以上で97%、70歳以上で90%近くと、生ワクチンよりも優れた成績が認められています。さらに、帯状疱疹の合併症として頻度が高く、持続的な痛みに悩まされる帯状疱疹後神経痛の減少率は、不活化ワクチンでは50歳以上で100%、70歳以上で85%との報告もあります。

次にデメリット。生ワクチンは接種が1回で済みますが、不活化ワクチンは2回必要(2ヶ月間隔)になります。また、副反応として接種部位の痛みや腫れ(はれ)、発赤など、全身的には筋肉痛、疲労感、頭痛なども多いようですが、これらは1~3日以内に軽快するとされています。費用ですが、自己負担が必要な任意接種ですから、2回接種による出費の増額は辛いです。自治体によっては公費補助制度もあるようですが、多くはまだ整備されていないのが実情です。

大人になって3分の1の方は病むとされる帯状疱疹。今年の初めにも、横浜の市長さんがこの病気で1週間入院し成人式を欠席したとの報道がありました。「予防に勝る治療なし」。水ぼうそうになったことのある皆さん、一度考えてみられてはいかがでしょう。

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