教員リレーコラム
「偏見のコレクション」
濵田 光佑 [理学療法学専攻]
短大生である皆さんは、大多数が18歳から21歳にあたると思います。
高校生の頃と違い、車が運転できるようになったり、アルバイトを経験したり、
中には就職している友人もいて、刺激的な日々を過ごされていることだと思います。
多情多感なこの時期に様々なことを経験することは、
皆さんの価値観を形成する上で非常に重要です。
同様に様々な経験を通し、徐々にこの社会がどの様に形成されているのか、
社会の「常識」を理解する時期でもあります。
一方で、かの有名なアインシュタインはこの様な言葉を残しています。
「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションである」
事ある毎に思い出す、私のとても好きな言葉です。
私自身にも共通することですが、日々社会の中で過ごしていると常識を疑わなくなります。
物事を学習し、常識を身に付けることは社会生活においては欠かすことはできない事です。
しかし、時には何かを思考し判断する際に、物事を俯瞰的に見て、
当たり前だと感じている自身の常識や価値観に疑問を持つことも重要です。
中米に住んでいた頃、私にも常識を疑う機会がありました。
その時の友人達との些細なやりとりは、容易に思い出されます。
例えば、
・お土産にお箸を渡したら、次の日には髪飾りになっていたこと。
・お米をスチームして食べると説明したら、冗談だろと笑って信じてくれなかったこと。
・自転車を二人乗りする時は、必ず前に同乗者を載せること。
・食あたりでお腹の調子が悪い時は、カップラーメンを食べること。
・ホッカイロの用途を説明し渡した瞬間、ハイドロコレーターの水に浸けられたこと。
変わっているのは、彼らなのでしょうか?それとも私?
その様な考え方自体が、私たちの思考を狭めているのかもしれません。
物事にも意味を与えるのは我々自身です。
広い視野を持って、時には一歩引いて相手の考えや背景を知ることが、
皆さんの思考力を今以上に豊かにしてくれると信じています。
社会や自身を取り巻く環境が見えてくるこの時期に、
是非、様々な経験を積み、多くの感情を味わい、
自らの思考を深める機会を得て欲しいと心から願っています。
最後にいくつかホンジュラスでの「常識」をご紹介。
車は20万キロからエンジンがいい感じになる。
事故したら?問題ない。日本車は丈夫だから。これは常識。
ホンジュラス公共T V放送でも未だに、日本のお札は板垣さん!これも常識。
野菜は料理する前に洗剤で洗いましょう!これも常識。