教員リレーコラム
「歴史教育の問題?」
種田 陽一 [作業療法学専攻]
整形外科では韓国のドクターとの交流会である「日韓整形外科学会」を約30年前より毎年行っており、開催地を日本と韓国で交互に行っています。お互いに英語の勉強のため、発表、討論などすべてを英語で行います。唯一の決まりは東京とソウル以外で開催することです。第1回の会合は名古屋で開催されました。以後私も10回以上韓国を訪問していますが、非常に和気藹々としたお互いを尊重する良い雰囲気で行われています。
最近、韓国では一部で日本パッシングが起こっていますが、我々が経験している韓国のドクターとの関係で受ける印象からは信じられないことです。韓国は儒教の国で「仁」と「礼」を重んじるため年上の人を非常に大切にします。日韓整形外科の宴会でも年下の韓国ドクターが年上の韓国ドクターに馴れ馴れしい話し方をすると他の韓国ドクターが叱責する場面に遭遇したことがあります。宴会でも無礼講はありません。また、鉄道に乗ると日本の様に若い人が老人優先席に座っていることは決してありません。大統領といえども汚職が発覚すると全国民に非難され刑務所に送られてしまいます。そのように「仁」と「礼」を重んじる国で何故反日運動が容易に起こるのでしょうか。要因のひとつとして歴史認識の違う教育の問題とも言われています。戦後、韓国の歴史の教育では、第二次世界大戦で日本がいかに悪いことをしたかを教えていましたが、歴史に対する認識がお互いに異なったまま、戦後70年以上経っています。
日韓関係は、歴史認識問題を乗り越えない限り、悪いままで永遠に続くことにもなりかねません。教育者の端くれとしては教育が社会に及ぼす影響を常に考える必要を痛感します。