愛知医療学院短期大学

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教員リレーコラム

「健康食品」

種田 陽一 [作業療法学専攻]

 日本ではテレビやラジオ、新聞などで、いかにも老化で減った軟骨を増やしたり、老化そのものを防ぐなどの宣伝文句で医薬品まがいの健康食品が販売されています。整形外科の領域では軟骨を再生させるとしてヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、コラーゲンなどの健康?食品が販売されています。アメリカでは医薬品も食品もFDAが一括管理しているのでこのような宣伝は許されていないと思いますが、日本では医薬品は厚労省、食品は消費者庁が管理しているので、詐欺まがいの広告が野放しにされているのが現状です。効果がないことを知っているサントリーや大正製薬などの大手メーカーも、過大宣伝に消費者庁から何のお咎めもないことを確かめて、利益の大きさに眼が眩んで参入して来る始末です。しかし武田や塩野義などの一流薬品メーカーは当然参入はしていません。
 患者さんも騙されて購入している人が相当数います。膝が痛くて病院にかかっても痛みが無くならないので藁にもすがる思いはよくわかりますが、年金の不安がある中で老人に無駄なお金を使わせるのは如何なものでしょうか。消費者庁はこんなまがい商品でも消費が拡大して景気が少しでも良くなればと考えているのでしょうか。私が人工関節の手術をした産婦人科の老女医さんの病室には皇潤がおいてあり、医師でもだまされるのかと驚いたこともあります。
 患者さんにはヒアルロン酸は分子量が100万もあり、こんな大きな分子は腸で吸収できないと説明していましたが、いまいちピンと来ていない様なので、最近は2単糖の砂糖(ショ糖)の様な低分子化合物でもそのままでは吸収されず、消化液でブドウ糖と果糖に分解されてからやっと吸収される。ヒアルロン酸は高分子の糖タンパクなので、単糖とアミノ酸にまで分解が進むと吸収はされるが、飲んだヒアルロン酸がそのまま関節軟骨に行くはずがなく、うまく分解されなかったら腸内に残るので便通が多少良くなるかも知れないと説明しています。これは実は中学校で習った消化と吸収の知識で、中学でしっかり理科を勉強した人はヒアルロン酸を飲む不合理に気付くと思いますし我々の説明も理解できると思いますが、そうでない人の方が多く、医師が考える説明では理詰めになってしまって解りにくいと思いますので、何か他に素人さんに分かりやすい説明(例え)の方法があれば是非お教えいただきたいと思います。

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