教員リレーコラム
「見方が変われば・・・」
木村 菜穂子 [理学療法学専攻]
先日、世界的に有名なアニメ映画をテレビで放送していました。これまで何度も繰り返し再放送されていますが、久しぶりに最初から最後まで、しっかりと見てみました。
実はこの映画、上映当時(もう、20年くらい前?)に友人と映画館に見に行ったのですが、すでに20歳代であった私にも若干難解で、エンドロールを見ながら、若干もやもやした気分になったのを覚えています。
その「もやもや」は一体なんだったのか、と思いながら今回のテレビ放送を見たのですが、なんとなく分かりました。それは、「誰の目線で見ているのか」が場面ごとにぶれていたのだと思います。
自分自身が子どもの頃に見たのであれば、単純に「主人公」の目線で見ることができたでしょう。また昔のテレビ時代劇でよくあった「勧善懲悪」という形のように、単純に「正義の立場にいる主人公と、その対極にいる悪者」の戦いの様な内容であれば、おそらく「正義の主人公」の目線で見て、その人物の感情や行動にシンクロしやすかったのだと思います。
しかし、この映画はそうではありませんでした。初めて見たときから20年たって、改めて見たときに、「誰もが自分の立場で、精一杯のことをしている」と感じることができました。もちろん、その立場の違いで仲間になったり、敵対したり、悲しいことが起こったりするわけですが、でも「絶対的な悪」はなく、それぞれが「誰かにとって味方(もしくは悪)」なのです。
このようなことは、日常生活でもあると思います。私たちも、将来医療の現場に立つ学生に「相手の立場に立って考える」ことを望みます。でもそれは、立場の違いや価値観の違い等によって、実はとても難しいことなのだ、と改めて考えるきっかけになりました。
たかがアニメ映画で?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、身の回りにある様々なことから、「見方をかえて」いろんなことを感じられることも、大切なのかもしれませんね。