教員リレーコラム
ハチミツによる乳児ボツリヌス症・・・甘いものには罠がある!
杉山 成司 [作業療法学専攻]
今回は「ハチミツを1歳未満の乳児に与えるのは危険」というお話です。ある新聞記事をご紹介します。
"6ヶ月の赤ちゃんが乳児ボツリヌス症で死亡"
お子さんは、生後4カ月頃から市販のジュースにハチミツを混ぜて1日2回、約10g与えられていました。そして1ヶ月経った頃に咳などの症状を認め、その後けいれんや呼吸困難などの神経症状が出現して入院、6ヶ月時に亡くなりました。家族は「栄養があるから」と考えたようです。(一部改変)
ハチミツは非加熱食品で、自然状態を保つよう不純物を取る程度で、乳製品のように殺菌、濾過などせずに出荷されます。そのため、土や川などに広く分布するボツリヌス菌(特に芽胞の状態)が混入する危険性があります。通常、これを大人が食べても害はありませんが、腸内の免疫機構が未発達な乳児では、芽胞は発芽して菌が増殖し毒性を発揮します。
この毒素は腸管の動きを抑え、急に便秘が続くのが特徴の一つで、その他マヒによって無表情になる、哺乳力が低下し泣き声が弱くなる、ミルクが飲めない、呼吸ができない、など重症化します。死亡率は1%程度とされています。
乳児ボツリヌス症の予防には、ハチミツを含む食品は「1歳未満の乳児には、与えないように」などの情報提供が必要で、母子手帳にもちゃんと書かれています。再確認をお願いします。