教員リレーコラム
高校野球
舟橋 啓臣 [理学療法学専攻]
台風の影響で1日開催が遅れたが、例年のように夏の風物詩である高校野球が始まった。プロ野球に比べれば明らかに技術は拙いのに、何故多くの人を魅了するのだろう。確かに自分の住む地域の高校生が、甲子園で50校近い他の地域の高校と戦い、頂点を目指すというからには、何としても応援したいという気持ちは理解できる。しかし、それだけではない。
勝っては泣き、負けては泣く高校生の姿に、社会の暮らしの中でいつのまにか無くしてしまった、自らの青春を重ね合わせているのだと思う。「ああ、栄冠は君に輝く」。何と胸躍る歌詞だろう。この一節を聞くだけで、胸がジンときて切なささえ覚えるではないか。とにかく爽快である。高校野球をテレビで観戦している間は、歩きスマホ・ポケモンゴー・SNSなど、日頃は目の敵にしている様々な社会現象を忘れていられる。若者の活字離れ、自分さえ良ければという身勝手な振る舞いの横行、車の運転マナーの悪さ等々、このままでは日本は駄目になってしまうと感じるストレスが溜まり溜まっている。何とかならないものだろうか。企業は利益さえ産めばどんなことでも平気でしており、若者たちはその餌食になっているに過ぎない。そのいい例がスマホでのアプリのダウンロードだ。一つ一つが非常に低額であるという所に落とし穴があり、気が付くと幾つものアプリを契約してしまっている。元来、スマホは携帯電話に過ぎないのであって、繋がりにくい相手にはメールという手段で連絡できる、それくらいの機能で良いではないか。いつのまにか営利目的の企業の毒牙にかかって、知らないうちに高額の金銭を無駄に消費しているわけだ。無知で未熟な若者達が可哀そうではあるが、社会の仕組みを知ろうともしない人間は自業自得と言えなくもない。それにしても、高校野球を見ている間は、スマホのスの字も思い浮かばないとは、何とストレスのない爽やかな休息時間であることか。