愛知医療学院短期大学

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教員リレーコラム

生きて何を為したか

舟橋 啓臣 [理学療法学専攻]

1年の過ぎ方が年々早くなってきている。とにかく、1週間があっという間に過ぎることが異様に感じられ、その感覚は年を重ねるごとに強くなってきている。
最近ではこの師走の頃になると、自分もいつの間にか高齢者の仲間入りをしたのだと実感させられる。瀬戸内寂聴さん、篠田桃紅さん、吉沢久子さんなど、世の中には老いてなお精力的に活動している著名人がおられる。
最近、この人たちの書物をじっくりと読み、同感する箇所が多くなったことに我ながら驚嘆する。作品は順に、「死に支度」、「百歳の力」、「ほんとうの贅沢」である。気持ちが高齢化したのか、環境や境遇が近しいのか、現世に対する思いに似通った部分があるのか。
いずれにしても、自分なりに過ぎこしかたをゆるゆると振り返り、後悔したりよく頑張ったと内心でほくそ笑んだりして、この人達のように一つのものにまとめてみたいと思うようになってきている。大体が、院長を定年退職する際の思いとして、今後は晴耕雨読(ずっと夢見てきた)の日々を過ごすことが可能になる、と意気込んでいたのに、現状はそれとは裏腹のストレス漬けである。とは言え、どこに身を置いても期待されることや、自ら考えてやるべきことは生まれてくるものだし、多くの場合そうした事柄は増殖し周囲に浸潤するものだ。
時にはリンパ転移のように、直接関連のないところにまで影響が波及してしまうことすらある。それらのことで達成感をえようとすれば、真剣に考え、方向性を見出したら理論的にまとめたものを持って周囲を説得するなど、相当のエネルギーや時間、手間が必要である。しかし、ある程度の結果を出すことができれば、満足感と達成感、そして次へのステップへの勇気が得られる。毎年がその積み重ねではあるが、何年か過ぎて活動ができなくなった際に、振り返って自分は「生きて何を為せたか」と、問えるようでありたい。

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