教員リレーコラム
なぜ人は怠けるのか「社会的手抜き」
河野 健一 [理学療法学専攻]
決して良くない質問ではありますが、皆さんは大学生活におけるどのような場面で手抜きをしますか?
手抜きをする前提で質問しています。
なぜなら、人は必ず社会生活の中で「社会的手抜き」するからです。
とくに単独行動ではなく、大学のような集団生活における場での手抜きを社会的手抜きといいます。
常日頃から授業時間外学修をほとんどせずに、個人生活でも手抜きばかりの人は、言及に値しません。
ある書籍によると、人は4歳を過ぎる頃から集団生活において社会的手抜きが見られるようになり、パフォーマンスが低下するそうです。これは、社会的手抜きが社会的知性の発達と密接に関連しており、人間の高度な社会的行為であるためだそうです。知性があるから我々は手抜きを覚えるわけです。
授業をテーマとして社会的手抜きを考えます。
社会的手抜きを防ぐためには、「知性を縛る(=監視する)」、もしくは「魅力のある課題を提供し、課題と知性の方向性を一致させる」ことが方策と考えられます。
威圧感を持って手抜きを監視されている授業、そうしている教員はいますか?
魅力ある課題を提供され手抜きしないぐらい一生懸命取り組んでいる授業、そうしている教員はいますか?
社会的的手抜きを黙認し、教授という役割を放棄した授業、そうしている教員はいますか?
私自身、社会的抜きをよくしてしまう人間だからこそ、2つめの方策によって授業を遂行していかなければならないと思っています。当たり前だとは思いますが。
また、社会的手抜きと負の相関(社会的手抜きをしない)の性格特性を持つ人もいるようです。
どういう人かというと、「勤勉性」、「協調性」、「達成動機」の3つが高い人と言われています。
勤勉性や協調性は、容易く獲得できる性格特性ではないと思います。
勤勉性や協調性が低いと自覚する人は、まずは「達成動機」を明確にすることから始める必要がありそうです。
皆さんは、愛知医療学院短期大学における学生生活で何を達成したいですか?
なぜ、それを達成しなければならないのですか?
それらを自分自身で考え、整理していくことで、もしかしたら大学生活における、とくに学修面における社会的手抜きが減ってくるかもしれません。