教員リレーコラム
「小学校への訪問活動を通じて」
五十嵐 剛 [作業療法学専攻]
今年度も、特別支援教育専門家チームの一員として、地域の小学校などへの訪問活動に携わらせていただきました。特別支援教育制度では、授業の内容についていくことができない、友達とのトラブルが続いてしまうなど、日々の学習や生活場面で困り事があるお子さんが対象となります。
私が学校訪問をする時には、お子さんが通常学級で授業を受けている場面や、先生が個別で対応している場面などを見学させていただきます。
様々な場面を見学させていただいて感じるのは、過ごす環境が変わることで様子がガラッと変わるお子さんが多いことです。多人数の集団では周りの声や動きに影響を受けて授業に集中できなかったり、課題についていくことができず投げやりな態度になってしまうお子さんが、少し落ち着いた小集団であれば先生に注意を向けられたり、自分に合ったレベルの課題であれば前向きに取り組むことができるという場面はよく見られます。
このようなお子さんには、通常学級で行うことのできる支援の他に、より個別的に関わることのできる特別支援学級への変更を提案させていただくこともあります。しかし、親御さんの中には特別支援学級に抵抗のある方もいらっしゃるため、そう簡単に話は進みません。
もちろん通常学級には通常学級の良さもあるのですが、一つ一つの行動への対応や声かけのタイミング、担う役割や課題の工夫など、細かいけれど必要な配慮は、特別支援学級のほうが十分に受けられることが多いように感じます。
特別支援学級は、通常学級で対応に困る子供が入れられる場所ではなく、より自分の力を発揮して成長できる場所であると捉えると、一人ひとりのお子さんの可能性もずっと広がるのではないでしょうか。