教員リレーコラム
花
舟橋啓臣 [理学療法学専攻]
季節の花々は、私たちの心を穏やかに、優しくしてくれる。
梅雨のころ、以前は家々の生け垣に、ムクゲが咲いているのをよく見かけた。
雨に濡れて濃い緑の葉の中に、
薄いピンクの花弁にドキッとするような鮮やかな赤の縞模様が映え、
何とも官能的な思いにさせられたが、最近は見かけることが少なくなった。
一方、タチアオイは雑草のような花で、
陽の光の中で上に向かって伸びる茎に、いくつかの花が左右について誇らしげである。
同じころの花としてフヨウがある。
これもどちらかと言えば官能的な花の一種であろう。
これらの花が咲くころは、すでにアジサイは終わっている。
我が家の庭には、季節に合わせてガクアジサイが咲く。
普通のアジサイに比べると、何とも控えめで儚げである。
毎朝、愛犬を連れての散歩道である名大の、とある花壇の一つには、
ヒマワリとコスモスが植えられている。
コスモスはもうじき一斉に咲き乱れるであろうが、
この数日でヒマワリはもう終わりかけている。
そうそう、自分はクチナシの花が好きであった。
梅雨時などは何とも言えない香りを漂わせた白い清楚な花は、
まことに美しくか弱さを感じさせる花である。
真夏になると花は少なくなるが、
カンカン照りの中で勢いがあるのは、サルスベリとキョウチクトウ。
それにしても、サルスベリはとても花をつけるとは思えないようなつるつるの枝に、
よくもまあ、あのような見事なピンクや白の花を咲かせられるものだと、いつも感心する。
花は時期に始まって時期に終わるから美しい。
人も、時を知って奮い立ち、時が終われば静かに退く、そうありたい、と願う。