愛知医療学院短期大学

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青年期の自立に関して思うこと

横山剛 [作業療法学専攻]

リハビリテーションの世界においては、「自立」という言葉はごく自然に使用されているように思う。
ADLの自立、とか家庭生活の自立とかいった具合である。
その自立する、という対象を障がい者に固定せずに、
人生における大きなターニングポイントとなる青年期に焦点を当ててみたい。

青年期後期は、人生において社会に出る準備(職業を選択・決定する)の段階である。
従来、自立とは大人になること、親や他者に頼ることなく、
精神的にも経済的にも独り立ちできること、と考えられてきた。
文化・社会的背景を視野に入れた人格発達が重視されている現代で、
日本人の自立のあり方について検討した結果、
日本人の自立の概念には独立性といった概念だけではなく、
他者との相互関係性を示す下位概念を加えることの必要性が示されている。
調査した結果の最終的な結論は、
青年期の「自立」を促すには、「依存性」の発達を重視し、
「依存性」の発達を促す手立てを考えることが必要、である、といわれている。
「自立」と「依存性」は相反する物事のように思われるかもしれないが、
「自立」を獲得するためには他人の支援が必要であろうから、
そこには「依存性」が存在するのは当然であろう。

column_hirameki201408.jpg先日(8月2日・3日)、
「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」の一環として、「補助犬と共にリハビリお助け隊~障がい適応の作業療法プログラム研究~」を本学で開催した。

詳細は割愛するが、中学生のテーマは「補助犬はロボットとどこが違うか」、高校生のテーマは「補助犬と共に行なう作業療法プログラムを考える」であった。
ここでは、中学生、高校生のグループディスカッションのチューターとして支援する機会を得た。
中学生・高校生にとってはなじみが無いテーマであったと思うが、多くのチューターの支援を受けながら、見事なまでにまとめ上げ発表するに至っていた。
興味を持ち、探求していく中学生・高校生が頼もしく見えたひと時であった。

本学学生は大学生であり、本格的に職業の選択・決定を行う時期に入っている。
習うこと実習することは、初めて見聞きするものがほとんどであろう。
勉強していないからわからない、ということを話す学生がいるのだが、
それは当り前のことなのであって、
それをいかに学習し、技術を獲得するかについて考え、
支援を受けながら努力しなければならない。
誰にとっても初めて習うことや体験することは、
大抵の場合「知らない」ことであるのであるから、
他人に助けてもらうことが必要である。
以前のコラム(※)で「援助要請行動」について記したが、
これから社会に出ていく青年期にある人々を、
「援助を求めることを行うこと」の支援、
がまず我々に求められているのは間違い無さそうだ。
支援を受けながらご自身が望む結果を手にした者は、
将来きっと他者に同様な体験を提供できる、と信じている。

※「援助要請行動」が登場するコラム「今年度の基礎作業学実習(木工作業)から」は、こちらへどうぞ。
※「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」...
        独立行政法人日本学術振興会(JSPS)の"研究成果の社会還元・普及事業"で、
        小学生・中学生・高校生の皆さんに、最先端の研究を知っていただくためのイベントです。
        それぞれのイベントのテーマは、日本学術振興会の"科学研究費助成事業"により
        研究資金の助成を受けた研究がもとになっています。
        詳しく知りたい方は、日本学術振興会のホームページをご覧ください。

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