教員リレーコラム
OT国際学会
原和子 [理学療法学専攻]
7月7日は七夕。
「そういえば子供の頃は、東京でも天の川が見えたなー。」
今はどこで見えるのか、長い事見ていないのでその存在すら忘れていました。
澄んでいる夜空を取り戻したい。
去る6月18日から21日まで、横浜で「世界作業療法士連盟(WFOT)大会」が開かれました。
愛知医療からは、一般演題に、
港先生「どのような働き方が継続を可能にするのか
―精神障がいを有する人の就労ニーズを探る」、
横山先生「本学学生の同一性地位および職業未決定について」、
五十嵐先生「食事動作に関する神経機序とリハビリテーションへの応用
―重度認知症の食事困難に対して」を発表、
ワークショップでは、
港先生が「就労支援に生かすOTのコンピテンシー」を担当、
座長として美和先生が「各国の作業療法実践1」、
原が「各国のOT教育」のセッションを務めました。
原の担当分の内容をかいつまんで説明してみますと以下のようです。
"Perceptions of Clinical Education in South Africa"は、
臨床実習の振り返りについて学生と臨床実習指導者の立場からまとめたもので、
それぞれのフォーカスグループにより、
ロールプレーをしながら臨床実習を質的(グランデッド手法のよう)に検討している。
結果、学生は臨床実習指導者の犠牲者のようであり、
一方、臨床実習指導者は臨床サービスと学生教育の板挟みでうまく対処できていない、
それほどの能力はないと感じている。
背景にスタッフの不足、離職率の高さがあり、
解決のために臨床実習者教育コースを作ったらよいのでは、としている。
"OT Education in China, As Rehabilitation Emerges"
香港のリハビリテーション協会に所属する国際・中国部門の作業療法士(カナダ人)が発表した。
中国でのリハビリテーション普及のために、2013年、
専門職名「リハビリテーションセラピスト(200単位、学士プログラム)」養成コースが3大学でスタートした。
これはOTサービスの提供を進めるとは言えず、且つ、OTについての知識を学べる機会も無い。
どのようにOTの知識が必要だという事を理解してもらい、
地方の病院に至るまでOTの専門的技術が行き渡るよう発展させることができるだろうか。
解決のためには臨床OT研究パイロットプロジェクトによる中国の地方病院での勉強会を通し、
我々の国際OT管理部による標準セットと中国の教育システムの相違を指摘し、
正式の専門職教育ができるよう努力している。
"Challenging assumptions, broadening perceptions:
Developing an occupational therapy curriculum in Saudi Arabia"は、
オーストラリアのOTがサウジアラビアの大学設立支援した際のカルチャーショック的まとめで、
石油の輸出によって潤沢な予算と贅沢で広大なキャンパスをもつ女子大学が紹介された。
イスラム文化では幼少より男女共学制は無く、
東京都区内と同じような面積のキャンパス内移動は電車を利用するなどの問題から
WFOTの最低教育水準に達するにはさらなる発展が必要と結んでいる。
"Perspectives of Clinical Leaning Environment
among Occupational Therapy Students in Singapore: An Exploratory Study"
ナンヤン理工学大学校、保険科学部での作業療法の臨床実習における環境の影響について
「Clinical Learning Environmental Inventory」という独自に作られた評価表を用いて
半構成的面接により調べたもので、二つのフォーカスグループによりまとめ作業が行われた。
臨床実習の環境について、理想と現実には差があり、これらの溝を埋めるための示唆をうることができた。
(以上)
※「世界作業療法士連盟(WFOT)大会」については、五十嵐剛先生のコラムにも登場します。
五十嵐先生のコラム「作業療法でも世界大会」は、こちらへどうぞ。